前回の続き
RPAを扱っているベンダのWebサイトを見ると、RPA導入に必要な費用を明確に記述していないことケースが多くみられます。意外と高くてびっくりさせてしまうからでしょうか。数限りなくあるRPAの中で、比較的メジャーなRPAのイニシャルコスト、ランニングコストを見てみます。意外と高いですよね?
今のところ、パソコンを使った定常作業が一定量以上ない企業だとコスト的なメリットが出ない状況だといえます。
RPAは、宅配便を受け取ってくれませんし、お客様にお茶も出せませんし、蛍光灯も取り替えることもできません。零細企業で総務兼経理のようなことをやってくれる従業員を減らすということを簡単にすることができません。また、零細企業では、空いた時間にやってもらう仕事も簡単に用意できません。つまり、単純に作業時間を減らしても純粋に人件費の削減には至らないというケースが多いと考えられます。よって、RPAを導入するにしても運用コストはあまり掛けられないということになります。そこで注目されるのがオーブンソースのソフトウェアだけを使ったRPAです。
SikuliXは、Python(またはRuby)でスクリプトを記述することでパソコン作業を自動化できるソフトウェアです。といっても、簡単な構文を覚えれば、本格的にPythonを習得しなくても実用的なストーリーを作ることができます。
例えば、デスクトップ上のショートカットをダブルクリックするという動作を自動的にやらせたければ、SikuliXのコンソール上で”doubleclick “と入力した後、SikuliXの機能でデスクトップ画面のクリックしたいショートカットの画像をキャプチャします。そうすると”doubleclick ダブルクリックする場所画像”というコマンドが出来上がります。出来たコマンドを実行すると自分ではマウスから手を放していても、勝手にマウスカーソルが動いてデスクトップの所定のショートカットがダブルクリックされます。こうしたマウス操作やキーボード操作と画像を組み合わせていって、自動的に処理するストーリーを作成していきます。簡単なストーリーであれば数十分で作成可能です。導入時にコストも必要なく、毎月ライセンス料を支払わなければならないということもありません。これで単純作業の自動化が実現出来たら相当うれしいですね。PythonのライブラリやJavaのライブラリを使うことができるので、慣れてくればかなり複雑な作業を行うストーリーも短時間で作成できる可能性もあります。他のオープンソースのプログラムと組み合わせて、本格的な自動処理システムを構築することも可能です。
デメリットしては、やはり少しはプログラムの基礎知識がないと何もできないというところです。社内にそういった人材がいない場合は、外部の専門家に作ってもらわなければならなくなるので、初期コストがそれなりに必要となります。その初期コストを1年くらいの短期間で取り戻すことが可能なくらいの時間削減ができなければ導入の意味がなくなってしまいます。
また、業務に少し変更が発生した場合や、アイコンが少し変わってしまったような場合、自社内で修正ができないと専門家に修正を依頼することが必要となるので、費用が高くついてしまう可能性もあります。よって、自社内の人材でも多少の修正はできるようにSikuliXに関する知識を習得しておく必要が出てきます。
有料のRPAの中にはプログラムに関する知識がまったくなくてもストーリーズ作りや修正が簡単に行えることを売りにしているものもあります。そういったRPAに比べれば知識の習得に努力が必要となるので、自社に適切な人材がいることがSikuliX導入の条件になるかも知れません。
SikuliXはこちらからダウンロード可能です。
https://raiman.github.io/SikuliX1/downloads.html