ナレッジとは知識のことですが、ナレッジマネジメントという言い方をした場合には企業にとって有益な知識及び事例やノウハウなどの付加価値の高い情報のことを指します。個人が有している付加価値の情報を組織としても活用して経営に役立てようというのがナレッジマネジメントです。
企業の経営に必要な経営資源は、ヒト、モノ、カネ、情報と言われていますが、この情報の中には従業員個人が身に付けて文書化されていない仕事のノウハウ(暗黙知)も含まれています。このノウハウを企業がより有効活用して価値の高い資源とするためには形式知化することが必要です。個人のノウハウを業務マニュアルとしてまとめることがこれに当たります。
ナレッジマネジメントの目的は、ナレッジを形式知化して全体の作業を効率化しようというだけにとどまりません。そこにはナレッジを共有する中でこれまでになかった新しい技術やプロセスを発見し、企業の継続的なイノベーション(変革)を実現することまで含まれています。イノベーションを起こし続けなければ成長を続けることができない現代の企業においてはとても重要視される要素と言えます。
ナレッジマネジメントは、個人がもつ情報を大勢で共有することが基本となるため、情報ネットワークの構築が必要不可欠です。単純な例でいえば、会社のイントラネット上に掲示板を作り、その掲示板を使った情報共有を行うこともナレッジマネジメントの一つと言えます。
ビッグデータのように社内に蓄積された膨大なデータを統計学的な手法で分析し、あらたな知識を発見するデータマイニングもナレッジマネジメントです。過去の販売履歴のデータベースを解析して、30代の男性には春に5万円台の商品が売れていることが分かったので春に30代男性へのダイレクトメールには5万円台の商品をお勧めするメールを送るようにした、というような形でデータマイニングをマーケティングへ活用している企業は多くみられます。
暗黙知から形式知への変換のプロセスについては、SECIモデルが有名です。SECIモデルについては別の機会に説明します。