情報戦略とは、事業者の情報化(IT化)の方針や情報化の計画のことです。
情報化は経営戦略の実現のために行うものなので、当然情報戦略は経営戦略と整合性が取れていなければなりません。
企業の人事戦略、マーケティング戦略などの戦略も経営戦略と整合性が取れていなければならないという点では同じですが、情報戦略と経営戦略にはそれらの戦略とは若干異なる関係性があります。
それは、情報戦略の変更から経営戦略の見直しをしなければならなくなるという逆方向の影響性があるということです。なぜならば、ITの技術というのはソフトウェアにしろインフラにしろ、急激に変化することが頻繁にあるからです。
経営戦略に基づいて策定した情報戦略が一気に陳腐化してしまい、情報戦略を見直したとき、より良い経営戦略を立て直すことがあるのが現代の企業経営ということになります。
例えば、A社が今後3年間でA地区での売り上げを2倍にするという経営戦略を実現するため、オンプレミスで営業支援システムを開発してA地区での営業活動を高度化するという情報戦略を立てていたとします。
しかし、B社が提供するクラウドのサービスで、このA社にピッタリな営業支援システムが提供されていることが分かったとします。そのクラウドを利用することで、システムの開発期間も省けるし、よし精錬された営業が行えることになって、2年間でA地区での売り上げを2倍にできそうだとなったら、経営戦略を見直すことになります。
その見直した経営戦略に従って、人事戦略、マーケティング戦略、生産戦略などが立案しなおされることになります。
こうした逆流が起きやすいのが情報戦略と経営戦略の関係の特異な点といえます。
あくまで程度の問題であり、当然他の戦略でも逆流は発生します。例えば、経営戦略遂行のためにこの年は新規に3人雇用するという人事戦略を立てていても、人手不足で一人も雇用ができなければ経営戦略を見直すことになります。その見直された経営戦略に基づいて、人がいなくても事務作用が回るようにRPAの導入をするめるなどの情報戦略が立案されることもあります。