インターネットというネットワークは、TCP/IPというプロトコル群によって成り立っています。(プロトコルについてはこちらを参照。プロトコルとは?)
その根幹をなしているのはIPというプロトコルです。インターネットに接続されている機器というのはIPアドレスという電話番号のような固有のIDを持っているので世界中の機器と通信ができます。(IPアドレスについてはこちらを参照。IPアドレスとは?)
そのIPアドレスを持った機器同士を通信させる仕組みがIPです。現在、インターネットの世界ではIPv4とIPv6という2つのバージョンのIPが使われています。IPv4とIPv6はIPアドレスの形態が異なり互換性が全くありません。これは不可思議な状況ですよね。
そもそもIPは何故2つのバージョンが混在することになったのでしょうか。IPv4のIPアドレスは、グローバルアドレスと呼ばれるアドレスとプライベートアドレスというアドレスの2つがあります。グローバルアドレスはインターネットに接続するために必要なIPアドレスで、世界中でただ一つの機器に付与されます。非営利団体が割り当てを管轄しており、日本ではJPNIC一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンタが管理しています。
プライベートアドレスは、企業内のネットワークなどで自由に使えるアドレスです。世界中のネットワークで同じアドレスが使われており、そのままではインターネットには接続できません。
IPv4のアドレスは32ビットの値です。つまり、2の32乗=4294967296個のアドレスを割り振ることができます。約42億(実際には、様々なルールがありグローバルアドレスに使えるアドレスはこれより少ないのですが。)というと膨大な数のような感じもします。実際にインターネットが商用利用され始めたころには、十分な余裕がありました。ところが、インターネットがアジアやアフリカを含む世界中に爆発的に普及したことにより一気に不足状態となってしまいました。
一方、IPv6のアドレスは128ビットの値です。2の128乗=約340澗個のアドレスを割り振れます。天文学的数字のIPアドレスが使えるため、世の中のすべての通信機器にグローバルアドレスを付けても十分余裕があります。そのため、数年前からIPv6を普及させようという機運も高まりましたが、結局いまだにシェアは高くありません。今、日本では休眠しているIPアドレスを再利用したり組織間で融通し合ったりしてIPv4アドレス不足に耐えています。
IPv4アドレスのローカルアドレスをインターネットに繋ぐときだけIPv6アドレスに変換するようなことも行われています。
以上のような経緯で、インターネットの世界にはIPv4とIPv6が混在しています。前述のとおり、いまだIPv4が大きなシェアを占めていることもあり、ネットワークの教科書ではIPv4をベースとして話を進め、補足でIPv6のことが扱われていることが多いようです。