パケット通信とは?2

  回線交換と比較したパケット交換の一番大きいメリットとしては、回線数を少なくできることです。

 

 

 

 例えば、会社で電話とFAXを同時に使える環境を整えようと思うと、電話回線を2本準備しなければならなくなります。これをパケット交換で実現しようと思えば、光回線を1本準備して、VoIPゲートウェイを置くなり、IP電話やIP-FAXを置くなりすればOKです。回線は1本ですみますね。

 同時に使いたい電話とFAXの数が増えればさらに差がついてきます。回線交換なら同日使う台数分だけの回線が必要ですが、パケット交換なら引き続き一本で済みます。

 スマートフォンのケースで考えると、キャリア(電話会社)は、アンテナを設置して光回線につないでおけば、ユーザ数分の回線をいちいち敷設しなくても同じ光回線を通じて大勢のユーザを同時に通話させられます。

 

 パケット交換のデメリットもないわけではなく、一番大きなものとしては、回線の混雑に弱いという点があげられます。

 大勢の端末が多くのパケットを同時に送信すると、まずは、遅延が発生します。中継機器が、パケットを回線に送りきれなくなって、一時的に自分のメモリに保管しておいて、後で送りなおすという状況です。これが発生すると、当然普段より通信速度が遅く感じます。電話の通話でいえば、200ミリ秒の遅延が発生すると会話を続けるのが困難になると言われています。

 さらにパケットの数が増えると、パケットを保管しておくこともできなくなり、一部を破棄することになります。こうなると電話での会話はできないですね。FAXも途中が抜けた状態で相手に届いてしまったりします。中継機器には、電話のようにリアルタイムなやりとりが必須の通信は優先的にパケットを送信するような仕組みが組み込まれていますが、遅延や破棄を完全に防ぐことはできません。

 回線を占有する回線交換方式ならこういった心配はありません。ただ、あまりに大量の回線交換が発生すると回線自体が足りなくなる場合があります。災害時にみんなが被災地に電話を掛けると電話回線が足りなくなってずっと話中になってしまうようなケースですね。

 使える人の上限が決まっているのが、使っている人は快適なのが回線交換で、使える人の上限は決まっていないが、使う人が増えると快適に使えないのがパケット通信というところでしょうか。

 

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